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人工関節の脱臼に要注意!人工関節が脱臼する原因と予防法を解説

膝や股関節を人工関節に置き換える手術をおこなったあと、まれに人工関節が脱臼する(関節がはずれる)ことがあります。

当院で行っている手術法は筋肉・腱を切離しないため、脱臼の危険性はほとんどありませんが、万が一脱臼したときは麻酔下で整復する必要があります。

人工関節が脱臼する原因や日常生活で脱臼を防ぐために心がけることなど、人工関節の脱臼について詳しく解説します。

人工関節が脱臼する原因

一般的に、手術後に人工関節が脱臼する確率は0.5%~1%程度といわれており、そのほとんどが股関節で起こります。

一般的に、手術後に人工関節が脱臼する確率は0.5%~1%程度といわれており、そのほとんどが股関節で起こります。

股関節周辺の組織や筋肉が安定するまでの期間は3~6週間ほどで、この期間に脱臼が起こりやすいといえます。手術後3ヵ月ほどの間脱臼することがなければ、その後脱臼を起こす心配はほとんどありません。

また人工股関節の手術方法は年々進歩しており、より身体に負担が少ないよう改良されてきています。従来から行われている方法は、股関節周囲の筋肉や腱を切離しているために脱臼肢位といって脱臼しやすい姿勢があり、姿勢や生活動作に制限が設けられています。一方、筋肉や腱を切らないで行う方法が普及し、従来法と比べ脱臼しにくいといわれており、施設によっては姿勢制限を設けないところも出てきています。術後に脱臼肢位があるのか、姿勢制限が必要なのか主治医に確認してみましょう。

人工関節が脱臼するとどうなるのか?

人工関節が脱臼した場合、激しい痛みが生じるとともに脱臼した状態で関節が固まるため、自力での移動が困難となり救急搬送が必要となる場合もあります。

手術後、傷の痛みや下肢の違和感などを感じることはありますが、脱臼したときは歩行不能となり非常に激しい痛みを伴います。すぐに手術を受けた病院に連絡し、医師の指示に従ってください。

脱臼を防ぐために注意する動作

一般的に従来法で行われた人工股関節の場合、しゃがむ、曲げる、ひねる、の3つの動作で脱臼が起こりやすいといわれています。

一般的に次のような動作には注意が必要です。

  • 靴を履くときなど、腰を落とし深くしゃがみこむ。 
  • 荷物などを持ち上げるときなどに腰を曲げすぎる。
  • 足をくずして横座り(ななめ座り)するなど、腰をひねらない。

同様に、次のような動作にも注意しましょう。

  • 爪を切ったり靴下を履いたりするときに、腰をかがめ過ぎない。
  • 浴槽に入るときや物を拾うときに腰を曲げすぎない。
  • 車に乗るときなど腰をひねりすぎない。
  • ゴルフやテニスなど、腰をひねるスポーツをするときには限度を守る。

また、これと似たような動作に注意することで脱臼を防ぎ、安全に日常生活を送ることができることでしょう。一方で上述のように手術方法によりこのような姿勢の制限を全く設けていない施設もあるため、手術を受けた施設や主治医の指示に従いましょう。

脱臼を防ぐための筋力トレーニング

脱臼は関節を支える筋肉が弱くなると起こりやすくなります。脱臼を過度に恐れて趣味や外出などを控えてしまっては、せっかく人工関節にした意味がなくなってしまいます。

そこで、室内でもできる簡単なトレーニング法を紹介します。

股関節を鍛えるトレーニング(例)

股関節は、股関節の外側にある中殿筋(ちゅうでんきん)という筋肉を鍛えることで、脱臼の予防につながります。

  • ① 足を伸ばして仰向けに寝ます。
  • ② 膝をうえにむけたまま少し足を持ち上げ、そのままゆっくりと両足を横に開き、5秒数えてからゆっくりと閉じる動作を繰り返します。
  • ③ 1回につき10~20回を目安に、1日1~2セットおこないましょう。

楽にできるようになったら、両足に輪ゴムやゴムバンドなどをかけておこなうとさらに効果的です。 

なお、これらのトレーニング法はあくまで一例です。どのようなトレーニング法が自分に適したものかは、関節の状態や筋力、ほかの疾患の有無などによって異なります。

また間違った方法でおこなうと、効果が得られないばかりでなく逆に関節を痛めることもありますので、主治医や理学療法士の指導に従ってください。

まとめ

従来、特に人工股関節の術後は姿勢制限や生活制限が設けられていました。しかし近年、人工関節の性能や手術手技の改善により以前に比べ脱臼は減少している傾向にあります。当院のように術後に姿勢制限を設けない施設も増えてきました。人工股関節の大きな合併症のひとつである脱臼を防止するため、人工関節の改良や手術手技の改善が日々進められています。脱臼を予防するため術後にどのようなことに気をつければ良いのか、手術を受けた施設、主治医に確認してみましょう。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市