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人工股関節置換術の術後の禁忌肢位について -脱臼の予防方法について解説します

人工股関節置換術を受けると円滑に日常生活を送れるようになりますが、一般的に手術直後は関節周辺の筋力などが安定するまでの一定期間、脱臼を予防するための禁忌肢位(してはならない姿勢)を指導されることがあります。

人工股関節の手術方法は年々進歩しており、より身体に負担が少ないよう改良されてきています。従来から行われている方法は、股関節周囲の筋肉や腱、関節を覆う膜を切離しているため脱臼しやすい姿勢があり、禁忌肢位として動作に制限が設けられています。

一方、筋肉や腱、関節を覆う膜を切らないで行う方法が普及し、従来法と比べ脱臼しにくいといわれており、施設によっては禁忌肢位を設けないところも増えてきています。

「人工股関節置換術を受けたけど、今までと同じように生活しても大丈夫かな?」「手術したあと、脱臼することがあると説明されて心配……」など、人工股関節置換術の術後について不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで、一般的に人工股関節置換術を受けたあと、脱臼を予防するための禁忌肢位について解説します。

術後3週間を過ぎれば組織や筋力が安定し、脱臼するリスクは低下します。
人工股関節置換術を受けた直後に以下の動作を組み合わせると、脱臼するリスクが高まります。

  • 足を後ろへ引く(股関節の伸展)
  • 足を反対側の足に近づける(股関節の内転)
  • ひざを外側に向ける(股関節の外旋)

また、股関節を極端に曲げる動作も脱臼するリスクが高いため、日常生活においてこういった姿勢をとらないように気をつけましょう。

それでは、人工股関節置換術の術後の禁忌肢位について具体的に解説します。

人工股関節置換術の術後の座るときの禁忌肢位

人工股関節置換術の術後に正座したりすることは特に問題ありません。足を前に投げ出して座ることも可能です。

ただし、正座をしたままおじぎをするような姿勢や、体育座りのようなひざを曲げて座るような姿勢、横座りは脱臼の危険があるといわれています。

床に座って爪を切ったり靴下をはいたりするときに、ついついひざを曲げるような姿勢になってしまいますが、脱臼のリスクを下げるためにも椅子に座っておこなうようにしましょう。

基本的には、床や畳に座るよりもなるべく高さのある椅子(低い椅子は股関節が強く曲がるためNG)に座るほうが脱臼するリスクは下がります。

そのため、食事を摂るときなどはなるべく椅子とテーブルを使うようにしましょう。ただし、高さのある椅子でも足を組むと股関節に負担がかかるため注意してください。

人工股関節置換術の術後の寝るときの禁忌肢位

人工股関節置換術の術後はなるべくベッドで寝るようにしましょう。布団を使うと、立ち上がったり座ったりする動作をおこなわなければならず、脱臼するリスクが高まります。

また、手術した股関節側の足をうえにして寝るときにひざが内側に入り、内股のようになってしまうと、脱臼する可能性があります。

そこで、術後2〜3週間は両足の間に枕を挟んで寝るようにしましょう。ひざが内側に入ってしまうことを防止できます。

枕を両足の間に挟んで寝る期間は術後の状態によって変わってくるため、主治医とよく相談してください。

起き上がるときは体をまっすぐにして起こしたまま、足を片方ずつベッドから降ろすようにしましょう。ひざを曲げたり手術した足をねじったりしないように注意してください。

人工股関節置換術の術後の入浴・トイレなど日常動作の禁忌肢位

人工股関節置換術の術後、入浴の際に低い椅子に座って体を洗わないようにしてください。低い椅子は股関節に強い負担がかかり、脱臼するリスクが高くなります。高さのある椅子を使うようにしましょう。

浴槽に入る際は、なるべく手術をしていないほうの脚から入るようにしましょう。手術をしたほうの脚のひざを曲げ過ぎないように注意してください。転倒を防止するためにも、手すりにつかまるなどの工夫をするとよいでしょう。

また、浴槽に入っている間ひざを曲げると股関節に負担がかかるため、脚を投げ出すような姿勢で入浴してください。

トイレはなるべく洋式トイレを使うようにしましょう。和式トイレは股関節にかなりの負担がかかるため、脱臼するリスクが高くなります。

ほかにも、しゃがんで物を拾ったりズボンやパンツをはいたりするときなどに、ひざや股関節に負担がかかりやすいので注意しましょう。

まとめ

今回は、一般的にいわれている人工股関節置換術の術後の禁忌肢位について解説しました。

人工股関節置換術の術後約3週間は脱臼するリスクがあるので、日常動作において注意が必要です。

禁忌肢位については人工股関節の手術方法や施設によって異なります。当院のように術後の禁忌肢位や、してはいけないこと(寝るときの注意点や和式トイレなどの日常動作制限)を全く設けていない施設も増えてきています。主治医や担当の理学療法士から詳しい説明があると思いますので、よく相談してみましょう。

まとめ

今回は、人工膝関節置換術と人工股関節置換術の術後、日常生活での注意点について解説しました。

人工股関節置換術の術後約3週間は脱臼するリスクがあるので、日常動作において注意が必要です。

禁忌肢位については人工股関節の手術方法や施設によって異なります。当院のように術後の禁忌肢位や、してはいけないこと(寝るときの注意点や和式トイレなどの日常動作制限)を全く設けていない施設も増えてきています。主治医や担当の理学療法士から詳しい説明があると思いますので、よく相談してみましょう。

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