人工関節置換術の入院期間はどのくらい?入院から退院までの流れ
人工関節置換術を受けるには入院が必要になります。
そのため「入院する前に準備することって何があるのかな?」「入院期間はどのくらいだろう?いつ退院できるのかな?」「入院中のリハビリって大変?」など、不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、人工関節置換術の中でも特に手術件数の多い人工膝関節置換術と、人工股関節置換術の入院期間、入院前の準備、入院中のスケジュールやリハビリについて解説します。
人工関節置換術の入院期間はどのくらい?
人工膝関節置換術と人工股関節置換術の入院期間は、施設によって異なりますが、約1週間から4週間程度の期間となる施設が多いです。(当院では手術前日に入院し、7日間(術後5日)から13日間(術後11日)の入院としています。)
一般的に長い間歩けないことで筋力が落ちてしまっている方や、関節の変形が強い方は通常より回復が遅い可能性があり、入院期間が長くなることがあります。
手術前・手術後の状態は個人個人で異なるため、具体的な入院期間については主治医と相談するようにしましょう。
人工関節置換術の入院前の準備について
人工膝関節置換術と人工股関節置換術の入院前の準備について解説します。
はじめに、手術を受ける医療機関によって検査入院が必要なのかどうか、検査項目の数はいくつあるのかなどルールが異なります。そのため、入院前に説明をしっかり聞き、入院に関するしおりなどをよく確認するようにしてください。
それでは、入院前の準備について詳しく解説していきます。
(1)禁煙
人工関節置換術を受けるにあたり、喫煙をしていると手術後に呼吸器系の合併症が発症しやすいといわれています。
また、傷の回復が遅れてしまう可能性があります。手術を受けることが決まったら、禁煙することを心がけてください。
(2)体重管理
体重が重いと人工関節に大きな負担がかかります。人工関節を長持ちさせるためにも、バランスのよい食事を心がけてしっかり体重管理をしましょう。
栄養のバランスが悪いと手術後の傷の治りが悪くなる可能性があります。
(3)歯科治療
むし歯など、歯や口腔内に何らかの問題がある方は、手術前に歯科治療を受けてください。
口の中の細菌が血液内に入り、人工関節に感染する可能性があるからです。感染した場合、人工関節の入れ替え手術を行わなければならない場合もあります。
(4)内服薬
入院前に内服している薬は主治医に伝えるようにしましょう。
特に血液をサラサラにする薬は血が止まりにくくなる可能性があるので、主治医に伝えるようにしてください。
入院前の外来通院の際、お薬手帳など内服している薬の情報がわかるものを持参するとよいでしょう。
その他、入院中に必要な衣服や書類など、入院する医療機関によく確認して用意するようにしましょう。
人工関節置換術での入院中のスケジュール
人工膝関節置換術や人工股関節置換術の入院中のスケジュールは、手術前の身体機能の評価とトレーニングの指導→手術→手術後のリハビリテーションという流れになります。
手術前には歩行動作、脚の太さや筋力、痛みの程度など身体機能の評価が行われます。このとき、リハビリテーションのためのトレーニング方法についての指導がありますので、よく確認するようにしましょう。
手術に必要な検査や説明をすべて受けたあとに手術を受けます。手術を受けた当日または翌日からリハビリテーション開始です。
人工関節置換術の入院中のリハビリテーション
人工膝関節置換術と人工股関節置換術のリハビリテーションは、主理学療法士が行います。ここからは手術後におこなう入院中のリハビリテーションについてみていきましょう。
(1)手術当日または翌日~手術後1週目
リハビリテーションは施設にもよりますが、一般的に手術の当日または翌日から始まります。最初に訓練することは、ベッドから起き上がる練習、車椅子の乗り降り練習、トイレ動作の練習、立位訓練などです。
手術後1週目のリハビリテーションは、一般的に歩行器や平行棒を使った歩行練習や、関節の動きを滑らかにしたり足の筋力をつけたりする訓練がメインとなります。施設によっては後述の杖歩行練習、階段昇降練習や靴下の着脱などの日常生活動作訓練まで1週目に行うところも増えてきています。回復度合いによって、その方個人個人のペースに合わせてリハビリを進めていきます。
また、自分でできるトレーニング方法についての指導がありますので、よく確認しておきましょう。
(2)手術後2~3週目
手術後2~3週目のリハビリテーションで、杖を使っての歩行練習や階段の上り下り、屋外での歩行練習をおこないます。
また、入浴動作の練習や自動車の乗り降りなど、日常生活をイメージした訓練もこの段階でおこなわれます。
入院中のリハビリテーション期間は、一般的に多くの施設でおよそ1~4週間ぐらいです。主治医や理学療法士から順調に回復していると判断されれば、退院後の自主トレーニングなどの指導を受けたのち、退院となります。
まとめ
今回は、人工膝関節置換術と人工股関節置換術の入院期間、入院前の準備、入院中のスケジュールやリハビリテーションについて解説しました。
入院期間は施設により異なりますが、一般的に約1週間から4週間です。手術前日に入院し手術当日または翌日よりリハビリテーションが始まります。術後の回復度合いや病状によりリハビリのペースは変化しますので、主治医や理学療法士と相談し、充実した入院生活を送りましょう。
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