【注意】人工関節の手術を受けた方が転倒したときにやるべきこと!予防策についても徹底解説
高齢化社会が進行して平均年齢が高まるなか、転倒した高齢者の約10%が骨折しているといわれています。人工関節の手術を受けた方も例外ではなく、転倒によって骨折するリスクや人工関節に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで本記事では、人工関節の手術を受けられた方が転倒した場合に考えられるリスクや対応、そして転倒を予防するための方法についてご紹介します。人工関節によって実現した痛みのない生活を、転倒によって妨げないためにもぜひ最後までご覧ください。
人工関節の手術を受けた方が転倒したらどうなる
人工関節の手術を受けた方が転倒してしまうと、人工関節周囲の骨折を生じる可能性があります。たとえば人工膝関節置換術をうけた方が転倒した場合、人工関節周囲の大腿骨や脛骨を骨折する可能性があります。
そして人工膝関節置換術を受けられる多くは女性であるため、骨密度が低下している方が多く骨折リスクが高いことも理由の1つです。また骨折に伴い、人工関節本体がゆるんでしまうケースもあるので注意が必要です。
さらに人工股関節置換術を受けた方が転倒した場合、股関節を脱臼肢位に捻ってしまうと人工股関節が脱臼してしまう危険性があります。人工関節の種類によって起きうる事態は変化しますが、人工関節にとって転倒は十分注意しなければならないリスクといえます。
人工関節周囲骨折の治療法
人工関節を固定している骨が骨折してしまった場合、必要に応じて骨接合手術をおこないます。もし骨折が軽微な状態であれば、必ずしも手術をおこなう必要性はありません。
ただし、骨折によって骨の著しい転位がある場合や、安静によって二次的な疾患(肺炎や床ずれなど)を患うリスクがある場合は、手術をおこない早期回復に努めるケースがあります。また転倒によって人工関節がゆるんでしまった場合は、人工関節の再置換術をおこないます。
人工関節の再置換術とは、ゆるんでしまった人工関節を一度取り外し、新しい人工関節に入れ換える手術です。また骨折と人工関節のゆるみが同時に生じている場合は、骨接合術と再置換術の両方の手術を実施します。
骨折の術後は状態に応じて荷重制限がともなうこともあるため、従来の経過と異なるので注意が必要です。また骨折の程度によって他の部位から骨を採取して、骨折部に自家骨移植することもあるため、転倒後の骨折が疑われる場合は、速やかに専門医に相談しましょう。
転倒を予防する方法
- 人工関節の手術後に転倒しないためには、環境を整えて予防することをおすすめします。環境整備の一例は以下のとおりです。
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- 手すりの設置
- ベッドの設置
- カーペットなど敷物を撤去する
転倒する理由もさまざまな内容が考えられますが、環境を整えて転倒の予防に努めることが重要です。また手術によって関節が綺麗になりますが、たとえば股関節の人工関節置換術後は短期的に脚が長くなるような違和感を感じる場合があります。
つまり、これまでの脚の感覚と異なる状態で日常生活をおくるため、手術前どおりの動き方では転倒リスクを管理できない可能性があります。そのうえで脚を高く上げて歩くなど意識的に動くことや、日常的におこなうセルフトレーニングによって転倒を防げるでしょう。
そして環境面だけでなく自分が身に付けるもの、つまり靴の選択も適切におこなうことをおすすめします。軽くて靴底がスリップしないもの、またサイズを正しくあわせた靴を選びましょう。
以上のように、あらゆるポイントから転倒を予防して骨折や人工関節のゆるみを防ぐ必要があります。
人工関節の手術を受けた方が転倒した場合の対応
人工関節の手術をうけた方が転倒した場合、手術部はもちろん全身の痛みの有無を確認しましょう。そして転倒によって手術部周囲に傷が生じてしまったときは、すぐに消毒をおこない手術を受けた病院に連絡しましょう。
手術部に雑菌が入ってしまうと感染症を引き起こすリスクがあるため、できる限り早期対応することをおすすめします。また全身状態を確認して何も問題なかった場合でも、通院した際に担当医へ報告・相談することを強く推奨します。
まとめ
本記事では、人工関節の手術を受けた方の転倒によるリスクや対応策についてご紹介しました。人工関節は関節疾患による痛みを劇的に緩和してくれますが、転倒によって骨折や人工関節のゆるみが生じる可能性があります。
また人工関節置換術をおこなっている関節によって起きうるリスクも異なるため、退院前のリハビリや診察で注意点について確認しておく必要があります。転倒予防が最優先事項であることは間違いありませんが、もし転倒した場合にとるべき対応を覚えておき、二次的な受傷を最小限に留めましょう。