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患者様向け情報

人工関節置換術の術後の生活と注意点

人工関節置換術の手術を検討する方で、次のようなお悩みはありませんか?

  • 人工関節置換術の術後はどのような生活になるのかわからない
  • 術後の生活で注意することがあるのかわからない
  • 術後の健康のために何をしたらよいかわからない

人工関節置換術は、変形性関節症や関節リウマチなどで関節の痛みや変形などの症状を劇的に改善する効果的な治療法の1つです。

しかし、人工関節置換術の術後はもとの生活に戻れるのか不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

この記事では人工関節置換術の術後の生活で不安をお持ちの方へ、術後、日常生活で注意することをまとめました。

ぜひ、最後まで読んで参考にしていただけますと幸いです。

人工関節置換術の術後の生活では合併症に注意する

人工関節置換術の術後や退院後の生活では、次のような合併症に注意が必要です。

  • 細菌感染
  • 深部静脈血栓症
  • 骨折や脱臼
  • 人工関節のゆるみや摩耗

それぞれを解説します。

人工関節の最大の合併症である細菌感染を回避する

細菌感染は人工関節の最大の合併症で、どの施設でも感染防止に最も気をつかっています。術後の経過が良好で、数年経ったあとでも虫歯や水虫、肺炎や膀胱炎を放置していると細菌が血流に乗って人工関節に感染してしまう可能性があります。人工関節の部位だけではなく、身体のどこかに感染がおきた場合は放置せずに適切に治療しましょう。

命に関わる病気につながる深部静脈血栓症を予防する

深部静脈血栓症は横になる、座るなどの同じ姿勢を長い時間続けることで血の流れが滞り、血管中に血の塊(血栓)ができる病気です。

深部静脈血栓症の怖いところは、血栓が血流に乗って移動してしまうことにあります。

最悪の場合、血栓が肺や心臓、脳などの細い血管で詰まってしまうことで、肺塞栓症や心筋梗塞、脳梗塞など命に関わる病気に発展します。特に肺の太い血管に大きな血栓が詰まってしまうと即死する可能性があります。

術後は血栓が発生しないように定期的に体を動かして深部静脈血栓症を予防する習慣が必要です。術前から理学療法士より血栓予防の運動指導があるでしょう。

転倒に注意する

人工関節置換術の術後に、特に骨粗鬆症がある場合、転倒により人工関節の周囲で骨折を起こしてしまうことがあります。人工関節と骨との境界部は応力が集中しやすく、大きな外力が加わってしまうからです。特に手術直後のまだ歩容が安定していない時期は、杖の使用などにより転倒を予防することが大切です。また骨粗鬆症がある場合は早めに治療を開始しましょう。

人工関節のゆるみや摩耗を早くに察知する

人工関節の素材は改良され、耐久性は飛躍的に向上しています。しかし人工物であるため永久に使用可能とはいえません。万が一、人工関節のゆるみや摩耗が発生した場合は入れ替えの手術が必要となります。ゆるみや摩耗は初期の段階では自覚症状はありません。しかし徐々に進行し骨を溶かしていきます。骨が大部分溶けてしまったときに、ゆるみや摩耗がわかった場合、入れ替えの手術は非常に大掛かりとなり手術合併症のリスクも高くなります。そのためゆるみや摩耗を早くに診断する必要があります。ここで重要なのが定期受診です。術後数年経過したあとでも1−3年に1回の定期受診によりこれらの合併症を早めに回避することができます。

日常生活の生活環境を見直す

人工関節、特に膝の人工関節は医療技術が発達した現在でも、人間の本来もつ関節の動きを完全に再現するには至っていません。

そのため人工膝関節置換術をうけた方で正座ができるようになる方は非常に稀です。今まで和式の生活環境で暮らされていた方は、床に座ったり、床から立ち上がったりする動作に少し不自由を感じるかもしれません。

和式から洋式への環境の見直しや、楽に床に座ったり立ち上がったりするための動作方法は、リハビリテーションを通して学ぶことが可能です。

そこで、術後のリハビリテーションを担当する理学療法士や作業療法士には自宅の環境や日頃おこなう生活を詳細に伝え、注意するべきことを指導してもらうようにしましょう。

人工関節置換術の術後もリハビリテーションは継続する

人工関節置換術の入院期間は、一般的に2〜4週間です。

入院中は、自宅への退院に向けてリハビリテーションがおこなわれます。

特に膝の人工関節手術をうけた方は、術後のリハビリが重要になります。

筋力や関節の動き(可動域)は術後すぐに回復することはなく、2〜3ヵ月のリハビリが必要になることが多いです。

自宅退院後も通院リハビリを行いましょう。通院リハビリを行うことで、より早く筋力の回復や可動域の拡大が得られ、身体機能の回復を効率的に進めることができます。

まとめ

今回、人工関節置換術の術後の生活で不安をお持ちの方へ、術後の日常生活で注意することをまとめました。

手術をうける前に、もとの生活に戻れるのか、どのようになってしまうのか不安を感じる方がほとんどだと思います。しかし人工関節の手術は今世紀最も成功した治療法のひとつといわれるほど劇的な効果があり、辛い痛みから解放してくれます。旅行やスポーツなど、今までできなかったことができるようになり、今まで以上に生活の質は向上するでしょう。ぜひ一歩踏み出してみてください。

人工関節置換術のご案内|康心会汐見台病院/神奈川県横浜市